伝統

2009年03月21日 | 0comments | 0trackbacks

先日3月16日、私がお世話になっている美容専門学校の第四期卒業式があり、出席させていただきました。

卒業式というものは何度経験しても寂しいものですが、
巣立っていく若者の不安と自信と希望にあふれた、輝く顔を見ることは感動とともに誇りを感じさせてくれるものです。

“この子達は、社会に出てたくさんの苦労をするだろうけれども、その苦労の時には自分は役に立たないのだなぁ”
というある種の無力感のようなものも合わせて感じたりしていました。

“岡田先生に教えていただいたことを、社会に出て役立てていきます。”
などと、記念の色紙に書いてプレゼントしてくれましたが、「本当にそうあれかし」と心から願っています。

と同時に、“自分が彼らに伝えたことは本当に彼らに役に立つことだったろうか”という反省なども感じていました。

美容師さんの仕事は結構きついですし、時間も長いし、本当に好きでなければ出来ない仕事だと思うのです。

「子を持ってはじめて知る親心」などといいますが、人は自分がその立場になって見なければ、本当の大変さはわからないものです。

でも、美容師さんの大変さや厳しさが事前に彼らにわからないから、がんばれるのかもしれないなぁなどと、
つまらない事を考えたりしながら卒業式の時間を過ごしていました。

その学校では前の年に卒業した先輩たちが一年下の後輩の卒業式に来て、
何か記念の品物や卒業を祝うイベントなどをして、後輩の卒業を祝っています。

さかのぼれば、二期生の卒業式に一期生が来て、手作りの記念品を渡したことから始まっているのです。

一期生の彼らは受け継がれていくことを期待して行っていたのではなく、
自分たちの後輩の卒業を祝いたくて我慢できずにやっていたことだと思うのです。

先ほども言いましたが、美容師さんの仕事は大変ですし、ましてや新人ともなればご想像に難いところです。

その中で後輩のために時間を割いて何かをすることは、自分がやりたい、という気持ちがなければ出来ないことだったと思うのです。

その行為が人に感動を与え、次の世代へと受け継がれていくのでしょう。

受け継がれていくのは、後輩の卒業式に先輩がきて手作りの記念品を渡すという行為ではなく、
一年間という短い時間ではあるけれども、一緒に学んだ人たちの卒業を心から祝うという気持ちなのだと思うのです。

伝統とは、作法や技術などの行為を受け継ぐことを言うのではなく、
その行為を生み出す精神や心を受け継ぐことなのではないでしょうか。

先輩が後輩の卒業を祝うというシーンは、きっとこの美容学校の伝統の一つとして受け継がれていくのだろうな、と感じていました。

私がいつまでこの学校の講師をしているかわかりませんが、
仮に退任したとして、思い出したように学校を訪れた時にも、粛々と伝統が受け継がれているといいなぁと勝手に思っているのです。

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