“あいさつ”考

2011年10月26日 |

「あいさつはコミュニケーションの潤滑油」などとよく言われます。
“笑顔”同様、人間関係を円滑にする上で欠かせない要素の一つということです。

“笑顔”も“あいさつ”も、笑顔教室やあいさつ・お辞儀セミナーなどがあったり、
結構うるさく注意されたり、事務所の出入り口に張り紙していあったりします。

つまり、みんなあまりちゃんとできていない、ということの表れなのでしょう。

あいさつ、漢字では“挨拶”と書きますが、“挨”も“拶”も当用漢字には無いようです。
「一挨一拶」という漢語が元になっているようで、本来、禅家で門下の僧に押し問答して、その悟りの深浅を試すことを意味している言葉だったようです。
言葉交わすという意味として伝えられてきたのかもしれません。
ある資料には、『「挨」は心を開くとか接近する、「拶」はせまる、近づくという意味。つまり師家と修行者の互いの言葉または動作のことをいいます。面と向き合っての受け渡しですから面授ともいいます。これが転じて「応答、返礼」となり「挨拶」ということになったのでしょう。』とありました。

現代的慣習では目下の者が先に挨拶をするようになっている感じがありますが、
この語源から素直に考えれば、師家(上司)が一挨(問)して、修行者(部下)が一拶(答)するイメージがあります。
そういえば、授業や講義などの始まりは、先生のほうから挨拶することが多いです。
つまりは、誰からしなければならないということはないということでしょう。
みんな、自分からすればいいのです。

あいさつといえば、先日NHKで放送していた「神様の女房」の中で、
松下幸之助の女房、松下むめのさんが工員の子供たちに、
「あいさつは敵か味方かを区別するためのものです。ちゃんとあいさつせーへんかったら、敵やと思われても仕方ないんやで。」(実際のせりふとは異なります)
のようなことを教えるくだりがありました。
第二次大戦前の環境ならではのおもしろい言い回しだと思いますが、
それからすれば、忍者なんかの「合言葉」などもあいさつの一つの形といえそうです。

私たちホスピタリティ産業に従事するものにとっては、
お客様とのコミュニケーションにおけるあいさつはとても重要な要素です。
ご来店いただいたときのあいさつはもちろん大切ですが、これは誰もがそう思っているので、
結構ちゃんとできています。
見落としがちなのはお見送りの時です。
『ありがとうございました』の言葉の中に、ご利用いただいた感謝の気持ちや
“気をつけてお帰り下さい”という気持ち、“また来てください”という気持ちが
込められているかどうか。
その気持ちが込められているからこそ、お客様の姿が見えなくなるまで見送るわけです。
そういう態度や行動もあいさつの内なのではないでしょうか。

ある資料に次のようなお話がありました。
『幕末の大老、井伊直弼は一流の茶人でもありました。この名茶道人は客を送り出すときには、その姿が見えなくなるまで見送り、その後、客を偲んで一人で茶を点て静かに茶を親しんだと伝えられます。 お茶に限らず、本当のおもてなしとは相手との関係を大事に守ることです。』
私たちは、お客様との関係を大切に守っているでしょうか。
私たちが守っているのは、人と人との関係なのでしょうか。
それとも、商売上の関係なのでしょうか。



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